◆REBTとは
REBTは、「Rational Emotive Behavior Therapy」の頭文字であり、1955年に、アメリカの臨床心理学者である、Albert Ellis
Ph.D.(アルバートエリス博士)により提唱されたカウンセリング・心理療法です。1955年当初は、「Rational Therapy」と呼んでいました。
その後、1961年に「Rational Emotive Therapy」となり、1993年から、現在の名前になっています。
日本で「論理療法」と呼ばれるのは、最初の名称を訳して、そのまま定着しているからですが、日本においてREBTの中核的活動を行っており、米国のニューヨークにあるアルバートエリス研究所と正規連携を図っている「NPO法人日本人生哲学感情心理学会」では、REBTを「人生哲学感情心理療法」と呼んでいます。
本講習の名称では、REBTの日本語訳として、皆さんに馴染みのある論理療法の方がいいかと考えまして、「REBT(論理療法)のキャリアコンサルティングへの活用」としましたが、「人生哲学感情心理療法」を覚えていただければ幸いです。
◆本講習の目的
TBMでは、キャリアカウンセリングのプロセスとして、下図の「面接プロセスのフレームワーク」をベースとしていますが、本講習では、キャリアコンサルティングにおいても基本となる「ABC理論」について学び、「A」「B」「C」の関係性をより深く捉えた上での「真の問題の把握」、そして後半の「問題への対処」の一つとして紹介する「論駁」について、ワークショップやロールプレイ等を通して体感し、今後のキャリアコンサルティング活動の幅を広げる一助となることを目指します。
◆認知的アプローチ
カウンセリング理論のアプローチの一つとして「認知的アプローチ」があります。
「認知的アプローチ」とは、相談者が抱えている問題や混乱は、その人がそのことをどう考えるか(認知)によるとします。相談者の不安や抑うつ、怒りや敵意などの不快な感情は、それに先行します。出来事によって起こされるのではなく、その出来事をどう受け止めるかによるとする考え方です。
REBTはまさしく認知アプローチの代表的な療法といえます。
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<面接プロセスのフレームワーク>
【参考】「真の問題の把握」と「問題への適切な対処(問題解決)」
信頼関係の構築を開始のステップとすると、次のステップが「真の問題把握」です。継続して理解したことを伝え、それが本当に正しいのかどうかを明確にしていくことで、真の問題が見えてくることになります。相談者の「主観的事実」に対して、「自己理解は十分か?」「仕事理解は十分か?」また本講習のテーマである「認知の歪みがあるのではないか?」等の外的な問題、内的な問題両面について分析をしながら進めていくことになります。
そして次が「問題への適切な対処」のステップです。
このステップは、フレームワークの流れである「目標⇒適切な戦略構築⇒対処する力⇒価値を提供する力」の順に進めていきます。最初の「目標」のポイントは、「相談者と共有できる目標は何か?」ということです。一度決めたら確定ではなく、仮の目標として今後も修正することもあると捉えて進めていきます。目標を達成するためには、「具体的にどのように取り組んでいくのか?」というHowの部分が必要であり、そこが戦略構築(シナリオの策定)になります。戦略構築においての重要なポイントは、やはり一度作ったら終わりではない、ということです。相談者は絶えず心理的な動きや深さがあり、それを感じ取ることです。ケースにもよりますが、スモールステップで、PCDAのサイクルを回しながら、修正、再計画、実行を何度も進めていく意識が大切です。
「真の問題解決」と「問題への適切な対処」については、TBM更新講習「②真の問題把握と問題解決」でワークショップとロールプレイを通して詳しく学ぶことができます。まだ受講されていない方は是非ご検討ください。
<REBTのキャリアコンサルティングへの活用 カリキュラム概要(6時間)>
◆本講習の特徴
・本講習では、キャリアコンサルティングにおいても基本となる「ABC理論」について学びます。「A」「B」「C」の関係性をより深く捉えてもらうために、内容の説明の後は、ABC理論を説明するロールプレイを行います。
・REBTは体系化された療法であり、基本として「13ステップ」あります。通常はこの13ステップに従い進めていきます。本講習では、それをキャリアコンサルティングにどのように取り入れていくのかを一緒に確認しながら進めていきます。
・ABC理論について各自が改めて整理していただいた上で、グループでの意見交換やロールプレイを通して「真の問題の把握」につなげていくイメージを養っていただきます。
・「問題への対処」の方法の一つとして、REBTの重要な要素である「論駁」を解説していきます。「論駁」を実践したことのある方は多分非常に少ないと思いますので、ロールプレイを通して「論駁」を体感してもらうことで、積極的心理療法であるREBTの深い理解につなげていきます。
・REBT自体が初めての方も多いと思われますので、REBT13ステップを前半と後半に分けて、講師とスタッフによるREBTのデモを実施します。
・上記の様々なアプローチを通して、今後のキャリアコンサルティング活動の幅を広げる一助となることを目指します。
<REBTのキャリアコンサルティングへの活用 テキスト内容>
I.キャリアコンサルティングの進め方の体系的理解
1.キャリアコンサルティングの流れ
(1)キャリア形成の6ステップ
(2)キャリアコンサルティングを行うための留意点
(3)よりよい面接の基本的態度、技法について
2.面接のプロセスについて
(1)関係を構築する力
(2)真の問題を把握する力
(3)問題への適切な対処(問題解決)する力
3.カウンセリングの4つのアプローチ
II.REBTの理論
1.REBTとは
2.REBTの基本アプローチ
3.ABC理論について
4.REBTにおける3つの認知
5.REBTを実践するための13ステップ
6.積極的心理療法と信頼関係構築
7.REBTの「セルフヘルプフォーム」について
III.キャリアコンサルティングの面接におけるREBTの活用
1.「真の問題を把握する力」とREBTのABC理論
(1)ABC理論の「A(出来事)」について(ステップ4)
(2)ABC理論の「C(感情と結果)」について(ステップ3)
(3)ABC理論の「B(ビリーフ・認知・信念)」について(ステップ7)
2.「問題への適切な対処」とREBTの「論駁(D)」の活用
(1)IBとCを関連付ける(ステップ8)
【参考】目標問題の定義づけ及び合意(ステップ2)について
(2)REBTにおける「論駁(D)」とは
(3)IBを論駁する(ステップ9)
(4)相談者がRBへの確信を深めるための用意をする(ステップ10)
(5)相談者が新しい知識で実践するように勇気づける(ステップ11)
IV.本講習のカリキュラム概要について
◆受講いただく上での事前準備のお願い
・当日の講習をより効率的で充実したものとするために、受講日の「14日前」になりましたら、「テキスト(PDF版)」をメールにて送信します(なお、「テキスト」の送信により、席の最終確定となりご返金等はできなくなりますので、ご了承ください。)。
受講日迄に参考資料として読んでおいていただくと、ワークショップでの議論も、より円滑に進むと思いますので、ご一読のほど、お願いいたします(当日ご持参ください。)。
◆受講修了証の交付についてのご注意
・厚労省からの指導により、『遅刻、早退がなく、実施時間6時間全てに出席すること』が、「受講修了証」(6時間分)交付の前提となりますので、遅刻早退でも受講自体は可能ですが、「6時間」に満たない場合は、「受講修了証」の交付ができません。不足時間だけの補講等はありませんので、当会の「受講修了証」の交付を受けるためには、再度、同金額の受講料で受講していただくことになります。十分にご認識、ご了解の上、受講申込をしていただくよう、お願いします。
・受講修了証交付の際、登録番号の確認をしていただき、受領完了の手続きを取りますので、必ず「登録証」をご持参ください。後日、再発行のご依頼は、理由を問わず、発行手数料がかかってしまいますのでご注意ください。
その他、受講申込の前に「受講規約」を必ずご一読いただき、ご承諾いただけましたら、下記よりお申込ください。⇒「特定技法の活用」全講習ご案内ページへ